【メンタルヘルス】どの情報が正しいの? 歴史から学ぶ『心の健康』と日本の精神医療とは

どうも、うしらくです!

あなたは、「メンタルヘルス」と聞いて、どのようなイメージが湧きますか?

昨今、ネットでもSNSでも

  • メンタルヘルスが大事だ!
  • うつにならないように気をつけよう!
  • 精神を病む前に、ブラック企業なんか辞めちまえ!

と、声高々に言われています。

うしらく
が、そもそも「メンタルヘルス」って何なのでしょうね。

今回の記事では、

ポイント
  • メンタルヘルスとはそもそも何か?
  • メンタルヘルスがメジャーになったのはいつからか?
  • 今後のメンタルヘルスはどうなっていくのか?

上記3つについて、岡崎伸郎さんの著書『メンタルヘルスはどこへ行くのか』を参考にしながら、ぼくなりの見解を交えて書いていきます。

メンタルヘルスとは、「心の健康」のこと

今回参考にしている本は、岡崎伸郎さんの著書『メンタルヘルスはどこへ行くのか』です。

著者の岡崎伸郎さんは、2000年から仙台市精神保健福祉総合センターの所長で、精神保健福祉のプロです。

そして、本書は精神科医や、その多福祉のプロと共著で出来ているため、各専門家の視点でメンタルヘルスについて書かれています。

まず、本書の冒頭では、メンタルヘルスとは「心の健康」と定義しています。

つまるところ、メンタルヘルスというのは「心の健康」を保つ・改善するための分野だと言えるでしょう。

『健康な心』とは何か?

ここで一つ、疑問に思うことがあります。

それは、『健康な心』って、どんな状態を指すのかという点です。

「体の健康」は分かりやすいが、『心の健康』は分かりにくい

「体の健康」は、具体的に定義しやすいですよね。

例えば、

  • 脈拍
  • 心拍数
  • 体重
  • 体脂肪率
  • 血液の状態
  • 外傷の有無

など、視覚的に把握しやすいです。

上に挙げたものが、一定の状態に保たれていると、「健康な体」だと証明できます。

しかし、『健康な心』というのは、視覚的に把握できません

うつ病かどうかは「自己申告」によって決まってしまう

あなたは、精神科や心療内科に行ったことがありますか?

おそらく、世の多くの人が、精神科や心療内科に行った経験は無いと思います。

うしらく
ぼくは2011年4月(25歳の頃)に、初めて心療内科を受診しました。

それから8年経つ今(2019年時点・33歳)でも、通院を続けています。

で、精神科受診経験者であるぼくから言えるのは、「うつ病かどうか?」は、自己申告によって決められるということです。

精神科の診察は「問診票」と「口頭のやりとり」がメイン

精神科では、初診時に問診票を書かされます。

  • いつ頃から
  • どんな症状がでて
  • 現在どんな症状で
  • 何で困っていて
  • どんな治療を受けたいか

などを、問診票に書いていきます。

ここでいう「症状」とは、

  • 眠れない
  • そわそわする
  • 悲しい気持ちになる
  • 死にたいと思うことがある
  • 手足の震えがある
  • 動悸・過呼吸になることがある

という感じのものです。

もちろん、病院ごとに問診の項目は違うことがありますが、概ねこんな感じです。

で、この問診票をもとに、医師からより細かく聞かれていくという流れで、診察が進んでいきます。

その後、今の症状に合った薬の処方や、カウンセリング・その他治療へと進められていきます。

うしらく
つまるところ、診察の大半が「口頭のやりとり」で完結するんです。

「心の健康」は数値化できない

一方、風邪で内科を受診する際は、もっと細かい診察を受けませんか?

  • 血液検査
  • 心電図
  • 心拍数
  • 体重
  • 肺の音(聴音)
  • 目の充血
  • 喉の腫れ
  • 鼻水の状態

など、「数値化できる・しやすい検査」を、たくさん受けますよね。

しかし、精神科では、このような検査を受けることはありません。

うしらく
まぁ、血液検査や心拍数を測られることはあるけど。

なので、「心の健康」を数値化できない以上、『健康な心かどうか?』をハッキリと判断できないんです。

つまり、うつ病かどうかは、自己申告で決まりやすいということになります。

日本におけるメンタルヘルスの背景

本書によると、メンタルヘルスや「心の健康」が日本で取り上げられ始めたのは、1990〜2000年代にかけての『癒し系ブーム』が一つの要因かもしれないとされています。

岡崎>「真理」の在処(ありか)とは少し違った次元でメンタルヘルスの関心が増幅されているという点では、昨今の「自分探し」ブームにも多分にそういうところがあるように思います。

精神的不調というよりは自分探しを主訴としてカウンセリングルームやメンタルクリニックなどを訪れる若者が増えていますが、そこで彼(彼女)らが求めているのは、真理とか医学的診断とかいうレベルではなくて、自らによって腑に落ちるような自分についての物語(ストーリー)を見出すことです。

「メンタルヘルスはどこへ行くのか」より引用

1999年6月28日のオリコン週間シングルチャートでは、坂本龍一さんの『ウラBTTB』が一位になりました。

うしらく
収録曲である「energy flow」は、当時癒し系ミュージックとしてかなり流行しましたよね。

大阪池田小学校事件でさらに、メンタルヘルスが注目されるようになった?

また、2001年6月8日に起こった大阪池田小学校事件も、メンタルヘルスが注目されたきっかけの一つとされています。

この出版企画が動き出した後に、大阪池田小学校事件がおきた。

この事件は単に司法精神医学上の大事件であるだけでなく、日本の精神医療やメンタルヘルスの現状の貧困を先鋭に突きつける契機になった。

「メンタルヘルスはどこへ行くのか」より引用

大阪池田小学校事件とは、どんな事件だったのか?

2001年の6月8日、世の中に衝撃を与えた凄惨な事件が起こりました。

2001年6月8日、大阪府池田市の大阪教育大学附属池田小学校に男が乱入し、刃物で次々と切りつけ、児童8名が殺害され、教師含む15人が重軽傷を負った児童連続殺傷事件。

小学校を襲撃するという前代未聞の衝撃的な事件だった。

引用元:AERAdot.

この事件で注目すべき点は、宅間元死刑囚が「精神障害のふり」をしていたところです。

宅間元死刑囚が注目を集めたのは、その残虐な犯行だけではなかった。

逮捕後、精神障害のふりをして罪を逃れようとしたり、裁判がはじまり発言できるようになると、殺害された児童の保護者に罵声を浴びせるなど、その言動はさらに大きな批判を浴びた。

引用元:AERAdot.

結局、嘘がばれて執行されたわけですが、もしあのまま「精神障害のふり」が突き通せたとしたら、どんな結末になったのか。

うしらく
恐ろしいですね。

とにもかくにも、1990〜2000年代は「癒し系ブーム」や「大阪池田小学校事件」など、良くも悪くも、『心』についての認識が大きく変わった時代でした。

『健康な心』の線引きが難しいため、いつまで経っても心は健康にならない

で、この記事の冒頭に、話を戻します。

現在(2019年時点)でも、『健康な心』の定義はできていません。

心の状態を「数値」として表せない以上、患者や医師の主観によって、「心が健康かどうか?」の判断が変わるからです。

仮に100人の医師が、1人の患者を「別々のタイミング」で診察したとしましょう。

ある医師は、「うつ病」と診断するかもしれません。

でも、別の医師は「ただの疲れ」と診断するかもしれない。

あるいは、また別の医師は「今すぐ入院させるべき」と言うかもしれません。

一口に精神科医といっても、

  • 経験年数
  • 開業医か勤務医か
  • 専門分野

が違うため、「画一的な診断」というのが、できないんですね。

料理の分野でも、

  • 中華
  • 和食
  • 寿司
  • フランス料理
  • イタリア料理
  • スペイン料理
  • 民族料理

など、専門分野が多岐に渡っています。

なので、完璧な『健康な心』を証明できない以上、「〇〇すれば、メンタルヘルスにいいよ!」というのは言えません

うしらく
先程挙げた、宅間元死刑囚のように「精神障害のふり」をしようとする人も、少なからずいるわけで。

うしらく的まとめ

この記事を読んでくれた方は、おそらく

  • 自分ってもしかしたら、うつなのかな?
  • メンタルヘルスって何なんだろう?
  • メンタルヘルスについて調べれば、心が楽になるのかな?

という疑問を持っている方が多いと思います。

その気持ち、よく分かります。

ぼくもかつては、あなたと同じように「唯一の正解」を求めていたので。

でも、蓋を開けてみると『健康な心』を証明できない以上、どれだけメンタルヘルスについて調べても、100%の解決策は存在しないんです。

なので、それを踏まえた上で、「自分なりのメンタルヘルス」を築き上げていくことをオススメします。

一番良くないのは、

  • メンタルヘルスには〇〇が効果あるよ!
  • 〇〇さえすれば、メンタルが良くなるよ!
  • メンタルヘルスのために、みんなで〇〇しようよ!

などという、ネットやSNSの情報を真に受けることですね。

他者の意見は、あくまでも話半分に聞いておく

あとは、「過去からのメンタルヘルス業界の流れ」を知っておくと、流行や目先の情報に流されにくくなります

その判断材料の一つとして、今回参考にした本『メンタルヘルスはどこへ行くのか』はオススメです。

「うつ予防」の悩み相談屋。25歳で躁うつを発症し、自殺未遂→日本のうつ・自殺問題について海外テレビから取材→リハビリ生活を経て社会復帰→年間100件以上の人生相談にのりながら、「うつにならない社会」を作るために情報発信をしています。