ども。うしらく(@ushiraku)です。ぼっちでも好きに生きてます!
ぼくが好きなマンガ『人間仮免中』の続編が出ていたので、即買い。感想としては、前作同様の「圧倒的な読み応えと衝撃の余波がすごい」です。
ノンフィクションで描かれているこのマンガは、持病のある人にとって「理想のあり方」なんじゃないかなと思いました。少なくとも、ぼくは憧れを抱いています。
今日は、前作である『人間仮免中』の方のお話しをば。
『人間仮免中』/著:卯月 妙子
この『人間仮免中』を買ったのは、今から約3年前。読書仲間である友人から「ノンフィクションもののマンガですごいのがあるよ」と勧められたのがきっかけでした。
その日のうちに購入。家に帰って本を開き、ぼくは絶句しました。著者である卯月さんが、開始早々歩道橋から飛び降り自殺を決行したのです。
そっから一気にぼくの心は持っていかれ、読み終えた後は3日間頭が重かった。それだけ、本書の内容は壮絶なんですよ。
『人間仮免中』の卯月 妙子(うづき たえこ)さんって?
1971年、岩手県生まれ。20歳で結婚。しかし程なく夫の会社が倒産し、借金返済のためにホステス、ストリップ嬢、AV女優として働き、カルト的人気を得る。 その後夫は自殺。幼少の頃から悩まされていた統合失調症が悪化し、入退院を繰り返しながらも、女優として舞台などで活動を続ける。 さらに自伝的漫画『実録企画モノ』『新家族計画』(いずれも太田出版)を出版し、漫画家としても活躍。(引用:Amazon商品ページ)
卯月さんの略歴を見ただけで、壮絶な人生観が伝わってきます。波乱万丈すぎて、絶句するしかないというか。
特に、持病である統合失調症が悪化してからは、色々と辛かったことでしょう。
でも、『人間仮免中』では、とある一人の男性との出会いから、卯月さんの生き方が大きく変わっていきます。
『人間仮免中』のあらすじ
夫の借金と自殺、自身の病気と自殺未遂、AV女優他様々な職業…波乱に満ちた人生を送ってきた著者が36歳にして出会い恋をした、25歳年上のボビー。男気あふれるボビーと、ケンカしながらも楽しい生活を送っていた。そんなある日、大事件が起こる――。 年の差、過去、統合失調症、顔面崩壊、失明…… すべてを乗り越え愛し合うふたりの日々をユーモラスに描いた、感動のコミックエッセイ!デビュー作『実録企画モノ』で大反響を巻き起こした “漫画界の最終兵器”卯月妙子の、10年ぶり、待望の作品! (引用:Amazon商品ページ)
36歳の卯月さんが恋をした相手は、25歳年上の男性ボビー(ニックネーム)。頼りがいのあるタフなお父さんという印象。どっしりと構えた、素敵な男性です。
出会った当初から卯月さんは統合失調症のことを伝え、ボビーはそのカミングアウトを受け止めた上で交際を始めます。
2人はお互いを信頼し、支えながら生活はするものの、最初から全てが上手くいくわけではありません。時には激しい言い合いやケンカもする。それでもまた、仲直りして普段の日常を過ごす…のですが。
ある日、卯月さんとボビーの間に大きなすれ違いが起こり、卯月さんは歩道橋から飛び降り自殺を決行。顔面からアスファルトに着地したため、目も鼻も口も、文字通り「顔面崩壊」してしまいます。それほどまでに、大怪我したんです。
そこからは、卯月さんの長きにわたる入院生活及び、統合失調症の悪化による闘病生活。と、ボビーの中で「なぜ、自殺未遂を止められなかったのか」という心の葛藤。そして、2人がまた元通りに一緒に暮らすにはどうしたらいいかと、試行錯誤しながらの毎日が始まります。
でも、辛くて大変なことがありながらも、それらを2人で乗り越えていくところに心打たれるんですよね。
持病のカミングアウトは、人を幸せにするのか?
ここから先は、ぼくの実体験も交えながら話を進めていきます。
ぼくは今年の夏、自分が「躁うつ病」であることを恋人にカミングアウトました。結果は、残念ながら惨敗。フラれてしまいました…。
関連記事:躁うつ病(双極性障害)を恋人にカミングアウトしたら一瞬で拒絶された話
世の中、持病をカミングアウトして受け入れてもらえるパターンが全てではありません。ぼくの場合はダメだったので。
でも、あのまま持病を隠し続けて付き合うのは苦しかった。元気なふりして一緒にいるのに限界を感じたから。
一方、『人間仮免中』では持病を打ち明けたことにより、卯月さんとボビーの心の距離感は一気に縮まっています。カミングアウトしたからこそ、2人で支え合って生きていくことになった。とても素晴らしいと思います。
こうやって考えると、持病のカミングアウトは当人を含めパートナーまで幸せにするのか、判断は難しいとこです。カミングアウトする側と、それを聞く側。双方の価値観や考え方によって大きく左右されますからね。
この問題については、ぶっちゃけ答えが出ません。持病について知っておいたほうが、お互いに対策は立てやすい。
でも、それは受け入れてもらえたらの話。カミングアウトが受け入れてもらえなかったときの悲しさは、絶望としか言いようがない。
持病のカミングアウトが受け入れられた場合、かなり心がラクになると思う
とはいえ、持病のカミングアウトが受け入れられた場合はかなり心がラクになると思うし、生きやすくなるとも思う。
これは主に精神疾患においての話になるけど、通院や服薬が長く続く場合、それらを隠し続けるのはかなり難しいから。同棲や結婚して一緒に暮らすことになった場合は尚のこと。
ぼくは元カノに、毎食後の服薬のことも通院(月2回)のことも隠し続けてました。同棲してなかったから隠すこと自体は難しくなかったけど、精神的にかなり消耗しましたね…。
薬を飲むのは、相手がトイレに行っているタイミングで飲み。通院については適当な理由をつけて、ごまかしてた。
1年間、じわじわと胸が締め付けられるような、変な罪悪感がありました。だから、持病をカミングアウトして服薬や通院のこともパートナーに知ってもらえていたら、かなり心がラクになると思います。
本書『人間仮免中』では卯月さんとボビーが一緒に精神科に通院しているシーンが多々あるので、ぼくは正直羨ましかったです。
まとめ:『人間仮免中』のエンディングは見る人の心を幸せにしてくれる
卯月さんとボビーは本当に色んな荒波を乗り越え、お互いの絆がより固く結ばれます。ホントに、これでもかというくらいの波乱万丈の人生を生き抜くって、すごいとしか言いようがないです。
お金がなくても周りから理解されなくても、大切なものがブレずにあり続ける2人の関係性。読み応えのある本編と幸せなエンディングに、ぼくは心の底から拍手を送ります。
昨日買った『人間仮免中つづき』は、本書の4年半後のお話し。とある理由で離れ離れに暮らした2人の愛情にまた、ぼくは心打たれたのでした。