ただの出世の道具? メンタルヘルス・マネジメント検定のメリットとデメリットとは

うしらくです、どうも!

あなたは、障害オープンで働いていて、働きづらさを感じることはありませんか?

特に、健常者の上司・同僚との人間関係に悩むことはないでしょうか?

ぼくは障害オープンでかれこれ5年近く働いてるのですが、やはり健常者の人たちと仕事するときにコミュニケーションの「壁」を感じてしまいます。

そんな矢先、とあるニュースを見つけました。

なんと、メンタルヘルス・マネジメント検定なるものがあると。

この検定は主に健常者の上司・同僚がメンタルヘルスについて学ぶものだそうで、普段の仕事にも活かせるみたいですね。

ただ、このニュースを見て「面白い取り組みだ」と思ったと同時に、デメリットもあるように感じました。

ので、今回の記事では、このメンタルヘルス・マネジメント検定のメリットとデメリットについて書いていきます。

メンタルヘルス・マネジメント検定とは?

メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所が主催している検定。

検定の目的は、職場のメンタルヘルスやストレスチェックに対する理解を深めるためらしい。

実際、厚生労働省が2015年に発表した「患者調査」によれば、仕事のストレスなどの理由から、気分障害(うつ病を含む)で医療機関を受診した総患者数は、111万6000人。

そうした情勢を受けて、同年には改正労働安全衛生法に基づき、従業員50名以上の会社において「ストレスチェック」が義務化され、ここにきてジワジワとブレイクしているのが、この「メンタルヘルス・マネジメント検定」です。

引用元:Asagei Biz

まぁ、ストレスやメンタル疾患というのは目に見えないものなので、何かしら知識を蓄えておくのは大事だと思います。

特に、2019年に入ってからは、障害者雇用の法定雇用率達成に関するニュースを目にすることが多くなったので、職場環境を改善する上でも、メンタルヘルスの知識はあったほうがいい。

こうやって見るとメリットの方が多そうに感じますが、ぼく的にはそうでもないというか、むしろデメリットの方が目立つように思うんですよね。

ポイント
メンタルヘルス・マネジメント検定は、大阪商工会議所が主催している検定。

メンタルヘルス・マネジメント検定のメリット

まず先に、メンタルヘルス・マネジメント検定のメリットからお話します。

やはり、一番のメリットは「健常者」の上司や同僚が、メンタルヘルスについて理解を深めてくれるのは、とても心強いです。

ぼくは、双極性障害をオープンにして役所で地方公務員として働いてるのですが、現状ではメンタル疾患に理解のある人がいなくて、わりと困ってます。

自分の病状を「健常者」の上司や同僚に伝えにくい

例えば、自分の病状を上司や同僚に「どう伝えればいいのか?」で悩むことが多いです。

うつで会社を休むとき、

  • うつってどう言えば伝わるのかな?
  • 気分がどんより重いと言えばいい?
  • でも、それじゃ「甘え」って思われるのでは?

と、自分の体調不良のレベルを伝えるのが難しいんですよね。

A・B型作業所ではサービス管理責任者がいるので病状を伝えやすい

ぼくは以前A・B型作業所で計2年近く働いてたんですけど、作業所は自分の病状について伝えやすいんですよね。

なぜなら、作業所にはサービス管理責任者(通称:サビ管)という「福祉のプロ」が常駐しているから。

サビ管の方はメンタル疾患の専門家なので、うつや躁のことを相談したときサクッと伝わりやすく、こちらとしても相談するときの心理的ハードルが下がって助かります。

病状把握がスムーズになるのはメリット

というわけで、上司や同僚がメンタルヘルス・マネジメント検定を取ることで、精神障害の理解が深まるならば大きなメリットになりうるでしょう。

もちろん、当事者であるぼくらもコミュニケーションの練習をして、自分の病状を伝える工夫をする必要がありますが。

ポイント
メンタルヘルス・マネジメント検定を取ることで、メンタル疾患への理解が深まる。

メンタルヘルス・マネジメント検定のデメリット

次に、メンタルヘルス・マネジメント検定のデメリットについてお話します。

結論としては、メンタルヘルス・マネジメント検定が「出世の道具」になる可能性があるということ。

ニュースの一文で、以下のような記述がありました。

同じメンタル系の資格に、公認心理士という国家資格がありますが、こちらは大学で専門的に学ばないとなかなか合格できないほどの難関。

それに比べて今回の資格は敷居が低く、箔をつけるには十分

そういう意味では、おいしいかもしれませんね

引用元:Asagei Biz

うーん、なんか自分の出世のために資格をとるのって、あんまり好きじゃないな。

この資格はやさしい順に、Ⅲ種(一般社員向け)、Ⅱ種(管理職向け)、Ⅰ種(経営層向け)に分かれており、私はⅢ種を持っていますが、組織内でのし上がるにはⅠ種を受けておくといいでしょう。

引用元:Asagei Biz

もちろん、無資格よりは「有資格」の方が頼れる部分はあるんだけど、なんか違和感あるよね。

「障害者の力になりたい」という気持ちではなく、ただ単に出世するためだけに資格を取るっていう動機がね。共感できないなぁ。

そういう上司や同僚のもとで、一緒に働きたいとは思えない。

メンタル疾患を「知ったつもり」でいられるのも危険

また、メンタルヘルス・マネジメント検定に合格したからといって、メンタル疾患の全てを理解できるわけではありません

メンタル疾患にも色んな障害、病気があるわけなので。

  • うつ病
  • 双極性障害
  • 神経症
  • 統合失調症
  • 発達障害

などなど、当事者のぼくですら、メンタル疾患の全てを把握できてません。

なので、たかが検定に合格したくらいで「メンタル疾患について理解したど!」と思われるのは心外だし、そういう「知ったつもり」の状態が一番危険

自動車免許でも、慣れたつもりの初心者が事故率高いですし。

ポイント
メンタルヘルス・マネジメント検定が「出世の道具」になりそう。

メンタルヘルス・マネジメント検定の取得よりも「専門家」の派遣をしてほしい

ぼく的に思うのが、社員がメンタルヘルス・マネジメント検定とかを取るよりも、臨床心理士やジョブコーチなどの「専門家」を職場に派遣してほしいですね。

スクールカウンセラーの会社版(臨床心理士の派遣)

例えば、スクールカウンセラーの会社版みたいなイメージ。

実際には、臨床心理士の資格所有者が、たとえば文部科学省の実施する全国公立中学校や小学校に1996年以降よりスクールカウンセラーとして任用(派遣)され、活躍している(5,000名)のは、その代表例といえましょう。

引用元:日本臨床心理士資格認定協会

企業在籍型のジョブコーチの派遣

もしくは、企業在籍型のジョブコーチ。

障害者を雇用する企業に雇用されるジョブコーチです。

機構が実施する企業在籍型職場適応援助者養成研修又は厚生労働大臣が定める企業在籍型職場適応援助者養成研修を修了した者が担当します。

引用元:厚生労働省

やはり、その道のプロを会社に招き、定期的に社員が面談できるようにしてもらえると、ありがたいです。

多少はお金がかかると思うけど、全社員が安心して働けるのであれば、長期的にみて安くつくのでは?

ポイント
臨床心理士やジョブコーチを企業に派遣するほうが、コストが安くつく。

うしらく的まとめ

職場環境の改善は、時間をかけてゆっくり取り組んでいくもの。

メンタルヘルス・マネジメント検定を取ったからといって、ある日急に職場環境がガラッと変わることはないでしょう。

もちろん、メンタル疾患を理解するという上で、検定を取るのはアリだと思うけど、妄信するのは良くない。

ぼく的に、今回紹介したニュースは良い取り組みだと思ってますが、それでも「出世の道具」としての検定合格…みたいな流れになってほしくないですね。

あなたは、メンタルヘルス・マネジメント検定についてどう思いますか?

ABOUTこの記事をかいた人

「うつ予防」の悩み相談屋。25歳で躁うつを発症し、自殺未遂→日本のうつ・自殺問題について海外テレビから取材→リハビリ生活を経て社会復帰→年間100件以上の人生相談にのりながら、「うつにならない社会」を作るために情報発信をしています。